続 時代小説に登場する うなぎ
移転しました。
佐伯泰英 居眠り磐音江戸双紙」
主人公、坂崎磐音が浪人時代深川のうなぎ処「宮戸川」(都内の有名うなぎ店の名前に似てますね。)でうなぎ割きのアルバイトをするという設定で登場する。
この時代になると、うなぎも屋台から料理屋で食べるまでに格が上がって江戸の町民に美味しい食べ物として知られてきた。
江戸中期にうなぎが飛躍的に美味しい食べ物になったのは、和食にかかせない調味料に関係する。江戸へ野田、銚子の醤油、流山、三河のみりんが入って来たことに起因しているようだ。つまり、美味しいたれが出来たからである。
小説の中で主人公、磐音は将軍長男である徳川家基(1762~1779)の剣術指南役に出世し江戸城西の丸で、家基が蒲焼きを初めて食べる場面がある。
そこを抜粋してみましょう。「第25巻2章 鰻の出前」より
「これが流行りの鰻焼きか」
「江戸前の鰻は、しゃこ、蝦をたくさん食べて育ちますゆえ、味が上品でかつ美味と申します。鰻の料理は元々上方から江戸に伝わったものにございますが、江戸では蒸して、余分な脂を落とした上に秘伝のたれに何度も浸しながら焼き上げます。西の丸様のお口にあうかどうか、ご賞味くださいませ……
「磐音、これほど美味なものは食したことがないわ。」……
「磐音、次なる機会には、予を宮戸川に案内いたせ。しかと申し付けたぞ」
江戸時代の貴人はおそらく白身の魚の淡泊な味しか知らなかったのであろう。
甘辛く、香ばしいうなぎの味に舌鼓を打った事は想像に難くない。
※江戸のまちの地図 深川「宮戸川」の場所
~ しょうゆや 社長 ~